映画「64」を観ました。
前編も公開初日に観に行き、非常に素晴らしい作品だったので、その後、やはり評価の高かったNHKドラマを「オンデマンド」で見て、さらに原作も買ったきりずっと読んでいなかったものを読みました。
原作がとにかく素晴らしいということもありますが、映画の前編も、NHKのドラマもこの原作に非常に忠実で、時には原作と一言一句同じセリフが出てくることもありました。
映画ではオリジナルのラスト、ということで前編を見た後は「早く後編が見たい」と、非常に楽しみにしていました。
しかし一方で不安も。
というのもNHKドラマが最後まで原作に忠実で、全く違和感がなかったこと。
これに対して何か話を付け足したりしたら「余計なお世話」になりはしないか。
そして後編。
公開初日は仕事で行けずに二日目に観に行きました。
正直な感想ですが、私の不安は的中しました。
余計な話が足されています。
原作でもドラマでも、あえてぼかして読む者、見る者の想像に任せている部分をはっきり映像化してしまった。
あのような話を付け加えてしまうと、三上の妻を呼んだ意味がないではないか。
三上本人が雨宮の姿をドラム缶の場所で見て話かけるなら、妻の立場がない。
原作では幸田メモも、警察にとっては痛手だが、それを逆手にとって「64」の真犯人を挙げると松岡が覚悟を決めていたのに、それもあっけない。
雨宮も目崎の下の娘に誘拐まがいのことをさせるのも「やりすぎ」の感がある。
キャストは確かに豪華だし、迫力もハンパないものがあった。
原作通りだとドラマとまったく同じになってしまうので、それは避けたいと考えるのもわかるが、ここまでやる必要があったのか。
この作品は前半の評価は高いが、後半で評価を落としているように感じてならない。
とにかく映画やドラマを見た人は原作は読んだほうがいい。
色々と考えさせられる深い作品である。