「2010年南アフリカW杯が危ない!」

書店でうろうろしていたら、「2010年南アフリカW杯が危ない!」という新書を見つけました。

もともとバックパッカーだった私は、当初のアジアからアフリカに徐々に興味が移っていったものの、やはり遠くてなかなか行けるところではありません。念願かなって、10年くらい前にケニアに行くことができましたが、バックパッカーとしてではなく、単なるサファリ観光客としての訪問に過ぎませんでした。

南アフリカという国も、アパルトヘイト政策が終わってから、観光に力を入れている国の一つではあり、言ってみたい国の一つでもあるのですが、その治安についてはずっと凄い話ばかり聞こえていました。

たとえば、

  • ヨハネスブルグの街中を車で走るときは、信号が赤だろうと、警官が検問していようと、絶対にスピードを落とすことなく、つっきれ。なぜなら、信号で停車している間に、強盗に襲われる危険があるから。また警官も偽警官の場合が多いから。
  • ヨハネスブルグの駅に車で到着したときは、駅舎からどれくらい離れたところで車が止まるかによって、危険度が違ってくる。離れれば離れるほど、駅舎まで歩いている間に強盗に襲われる危険があるから。
  • ヨハネスブルグでショッピングに行くとき、タクシーをショッピングセンターの入り口の真ん前に止めてもらうこと。タクシーを降りたら、入り口までどんなにわずかな距離でも走っていくこと。歩いていると、そのわずかな時間に強盗に遭う危険があるから。
  • どんなに体格がよくて、格闘術に秀でていても、絶対に油断してはいけない。複数の強盗が後ろから羽交い締めにして、身ぐるみはいでいく。抵抗すれば、あっさり殺される。
  • ヨハネスブルグの中心街は、近代的なビルが建ち並んでいるが、どれもみんなスラム化しており、人々の生活拠点は郊外に移っている。

などなど。

一部誇張されている部分もあるかとは思いますが、外務省の海外渡航情報にはこんなことも書かれています。

 ヨハネスブルグのダウンタウン地区(カールトンセンター付近からヨ ハネスブルグ中央駅及びヒルブローに至る地区)では、殺人、強盗、強姦、恐喝、暴行、ひったくり、車上狙い、麻薬売買等の犯罪が時間、場所を問わず発生しています。上記地区に位置するヨハネスブルグ中央駅付近や長距離バスターミナル等においては、邦人旅行者が付近を通行中に路上強盗(突然背後から頸を締めて複数で襲い所持品を奪う等)に襲われる事件が頻発しています。これらの事件は白昼、人通りが多い所でも発生しており、中には長距離バスから下車した直後に襲われた例もありますので、可能な限り公共輸送機関の利用は避け、同地区には立ち入らないようお勧めします。なお、タクシーの利用については、信頼できる業者が少ないため、旅行者の方にはお勧めできません。また、今までに比較的安全とされてきた市郊外においても、ショッピングセンター内の銀行や宝石店に武装強盗団が押し入り、警備員や駆けつけた警官との間で銃撃戦となった事例が増えています。また、在留邦人がよく利用するレストラン周辺でも拳銃強盗被害が発生していますので、注意が必要です。

これはヨハネスブルグだけについてですが、他の都市についても似たり寄ったりです。

こんなところでワールドカップが開催されたら、犯罪者にとってはウホウホだろうと思っていたときに、この本が目にとまったというわけです。

これを読んでみると、やはり治安は相当悪いようです。

試合は夜に開催されるものもあるので、そこへの足、帰りの足、それぞれどうしたらいいのか見当が付きません。ツアーに参加すれば、まだましだとは思いますが、犯罪者にとっても願ってもいないチャンスですから、何かしら事件が起きるような気もします。

では、何でこんな危険なところでワールドカップを開催するのか。

表面的には、アフリカではまだ一度も開催されていなかったので、順番だ、という風に言われていますが、これを読むと、ずいぶん政治的というか裏取引というか、いろいろと裏がありそうです。サッカーというものが、純粋なスポーツではなく、完全に権力争いの道具、または金儲けの手段になってしまったんだなあ、という印象を強く持ちました。

私自身は、日本で開催したときにも見に行こうと思わなかった位なので、当然南アフリカまで行くことはありませんが、何事も起きずに大会が終了することを願ってやみません。

ということで、サッカーに興味がある方、南アフリカの情勢に興味がある方は、読んでみてはいかがでしょうか。

新書なので1時間程度で読めると思います。

2010年南アフリカW杯が危ない! (角川SSC新書 26)
木崎 伸也
角川・エス・エス・コミュニケーションズ
2008-02
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